夏の暑さがぶり返し体育館は蒸し風呂のような毎日ですが、
藤村女子バレーボール部は今日も元気に活動しています。
バレーボールが大好きなだけでなく、人のために労を厭わない人に育ってくれたこと、
顧問として誇りに思います。
さて、先日の8月20日21日にて高体連の夏季大会が開催されました。
インターハイ予選ベスト16のチームは免除される大会ですが、関東予選でシードを落とし、インターハイ予選では強豪・実践学園に力及ばずベスト16シード得ることのできなかった私たちは、この夏季大会を勝ち残らなければ9月の春高予選への出場権を得られないというとても大切な大会でした。
新チームがスタートして1ヶ月。
我々は、この大会のために夏の全てを捧げたと言っても過言ではない大会です。
組み合わせは熾烈を極める相手ばかりでした。
まず、初日の初戦が古豪・北豊島高等学校でした。
去年の夏の私学大会やインターハイ予選など何度も対戦している相手です。
高さを誇る北豊島高校を相手にするにはレシーブで粘り続けるかない。そう言い続けてレシーム練習を中心に取り組んできました。
当時は予想通りブロックの上から何度も打ち込まれ、苦しい展開に追いやられる場面が多くありました。
1セット目は勢いで奪取することができましたが、2セット目は完全に北豊島に流れが傾いてしまいました。一時は5点差まで開き、選手も相当苦しく追い込まれた様子でした。
2度のタイムアウトを使い果たし、後は選手を信じるしかないという状況となった時、選手たちが頑張ってくれました。
19対14と厳しい状況下から19対19と追いつくことができたのです。
誰一人として諦めることのないチーム。
絶対に負けない。
そんな強い思いが伝わってきた一戦でした。
続いての立川ろう高等学校には選手としての姿勢を多く学んだ一戦でした。
我々と対戦する時、必死に立ち向かってくる立川ろう高等学校の選手達に藤村女子バレーボール部は精一杯のプレーで応えようとタイムアウト時にそう話しました。
立川ろう高校の選手は聴覚の障がいを補うために補聴器を着けていましたが、我々と戦うために、試合途中にその補聴器をベンチに置き、必死に声を出し挑んでくれました。
その姿に本当に心打たれました。
同じスポーツを競技する者として彼女たちと試合を行えたことを誇りに思います。また彼女たちに我々と試合ができて良かったと思ってもらえるような真摯な選手をチームを育てていきたいと、改めて思い直すことができました。
翌日は会場を都立第一商業高等学校へ移し、2日目がスタートします。
第一試合ということもあり、会場へ向かうその足取りからその日の気持ちの入り方を強く感じました。
3回戦はかえつ有明高等学校でした。
スーパーエースを率いるかえつ有明高校とどう戦うか。そこが鍵でした。
この第一試合の入り方、戦い方は見事だったと言えます。
エースに勝負をさせないためのサーブ、徹底したマーク。
そこから自分たちの攻撃への転換。
この大会で一番の内容だったと感じています。
相手に一切、自分たちのバレーをさせなかった見事な試合でした。
準決勝は都立板橋有徳高等学校でした。
170cmを超えるサウスポーエースに苦しめられるゲームでした。
1セット目を5点で抑え、その勢いのまま2セット目も・・・と誰もが思ってしまいました。勝負は何が起こるかわからない。心の隙を絶対に作ってはいけない。そう言い続けてきたこの夏でしたが、思わぬところで心の弱さが浮き彫りになってしまったと感じています。
終始もつれる展開の2セット目は板橋有徳のエースに思うように決められてしまいます。
完全に後手に回った我々は、サーブカット、サーブどれを取っても不安げな様子が見え、相手に付け入る隙をどんどん見せていくような展開でした。
最後も自分たちのミスでこのセットを落としてしまいます。
最終セット、後がなくなった選手にこう言いました。
「自分たちはもっと出来るはずなのにどうして?
なんでうまくいかないのか?
どうしよう?」
そう思うのを止めよう。
さっきのセットは相手のチームが良かった、ただそれだけだ。
点数を決められるということは、そのラリー相手が上手だった。
そう認め、自分たちの未熟さ弱さを認めることも大切だと。
ただ、この試合は藤村が勝つ。
何があっても最後の25点は自分達が取る。
そう思い続けることが大切なんだと。
最終セット
先ほどまでの不安げな表情が消え、1点1点を大切に精一杯戦う彼女たちに戻りました。
この試合で彼女たちは勝負の怖さ、心の隙がどういうことなのかを身を持って学んだと思っています。
いよいよブロック決勝。
逆サイドのトーナメントから勝ち上がってきたのは日体桜華高校でした。
日体桜華とは久しぶりの対戦で実はとても楽しみにしていました。
彼女たちのバレーに対する直向きさ、行動の一つ一つから学ぶことが多く、この対戦を通じて沢山のものを学んで欲しいと考えていました。
1セット目17点、2セット目20点
このスコアでは計り知れないほど苦しい試合でした。
終始押し込まれていたのは我々だったように感じます。
彼女たちは最後までファイターでした。
この夏、選手たちに言い続けたことは
「心の隙を作らない選手になる」
「戦う集団になる」
この2つです。
技術よりもまず、この2つが大切だと。
目標を達成するために努力することは当たり前だけれど、
その目標の試合にどう挑めるかが大事なんだと。
常に全力でぶつかる。
最後の一点までその闘志を絶やすことなく挑み続ける。
まさに言い続けてきた姿を見せてくれた試合でした。
きっと藤村の選手たちもそれを感じとってくれたと思います。
夏季大会は3年生も出場可能な大会です。
我々が勝ったということは、負けたチームがあるということです。
引退を余儀なくされた選手もいるということです。
我々はその想いも全て背負ってEブロック代表として春高予選に出場しなければなりません。
解散のミーティングで優勝の労いとともに、そう一言だけ言い添えました。
勝負の世界は「強い者が勝つ」ただそれだけの世界ですが、
勝つことによって蔑まれるようなチームではなく、
応援してもらえるようなチームでありたい。そう思っています。
バレーボールが大好きなだけでなく、人のために労を厭わない人に育ってくれたこと、
顧問として誇りに思います。
そんな先輩の思いに応えるように精一杯戦う姿を見せてくれた1・2年生。
藤村は良いチームです。
今心からそう思えることが私の喜びです。
藤村女子高等学校
バレーボール部顧問 三井良介
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